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蒼紅の夢小説部屋
2010年08月17日(Tue)
【海のように 2】

その日の帰り。



「ちょっと・・・いいかな?」


「・・・・うん・・・。」


隼人君ファンクラブの部長さんに呼び出された。


「はな・・・・。」


「あい、私は大丈夫。」


心配そうに寄って来たあいは、
泣きそうだった。

「大丈夫」

とはいったものの・・・


怖いなぁ・・・






サァー・・・

風が草を鳴らす。


ここは校舎裏。



「ねぇ、神崎はなさん。」

「・・・・」


周りをファンクラブの人たちが囲む。

ドクン・・・ドクン・・・


心臓が悲鳴をあげている。


・・・・怖い・・・・・


「貴方、昼間さ、廊下で隼人君にぶつかったよね?」


「・・・・・」



「ぶつかったよね?」



「・・・・・・はい。」



「ッ!!何その態度!隼人君傷つけといてなんでそんな態度してんのよッ!!」


ドサッ!!!

「ッう・・・・」


叩かれて尻をついてしまった。


「嫌だ!なにその格好!ダッさー!!」

「ッ・・・・・・」


「こんな汚い子が隼人君にぶつかったなんて、信じらんないわ!笑わせないでよ!」


「・・・・・」


「大体ね!アンタみたいなクズが隼人君と喋るって時点でおかしいのよ!みんなもそう思うでしょ!?」


「おかしすぎるからぁー!」


「つぅか、ありえなくない?」


「ほんっとサイテーだよね」



色んな声が飛び交う。


「アンタも何か言いなさいよ!」


「・・・・・」


「え?なぁに?聞こえない?」


「・・・もぅ・・・・て・・・くださ・・・」


「何?だから聞こえないって!」


「・・・もぅ・・・やめてください・・・」


「・・・・・・」



「・・・・・・」



「は?何言ってんの?」


「・・・・・」


「やめるわけないでしょ!?アンタが悪いんだから!」


「ッ・・・・・」


何も言えない。



怖くて震える



逃げ出したい



手足の力が抜ける。



「っ・・・・」



「ねぇ、この子本当に馬鹿ねぇ!私たちに叶うわけないのに!!」





あはははは・・・・


ファンクラブの子たちが笑う。


「うぅ・・・っヒック・・・」

私は笑えなかった。


泣かないと決めてたのに


涙が溢れだす。


「ッ・・・うぅッ・・・・」


(誰か・・・・助けて・・)


「何!?この子泣いてるよ!まじで馬鹿じゃない!?笑いすぎてお腹痛いよー!!」

あははははははは!!!



(もぅ・・・・・)



あはははははは!!



(やめて・・・・・・)




「何してんの?」




「・・・・・・」






笑い声が止まった。



静まり返った校舎裏に現れたのは



「大丈夫?」




私なんかと何も関係のない



「はい・・・・・。」




ヤンキー君でした。



「ちょっと!何なのよアンタ!邪魔しないでくれる!!?」


部長さんが怒鳴る。



「オメぇこそ何なんだよ。集団いじめなんてマジダセぇ。」


「なッ!!アンタには関係ないでしょ!!」


「・・・えと・・・・」


部長さんとヤンキーくんが言い合っている中、
私は助けてくれたヤンキー君の腕の中に居た。


ヤンキーって、

いつも怖いなぁ・・・て思ってるのに、

なんか


落ち着く。


(ヤンキー君の腕、暖かいな)


いつしか私の涙は止まっていた。



「アンタ!邪魔なのよ!その子置いて消えなさい!!」


「ああ、消えてやるよ。でもコイツは貰ってくぜ」


「な!ちょ、待ちなさい!!」


ファンクラブの人たちが怒っている。

叫んでいる。



でも、助けてくれた。


何の関係もない


ヤンキー君が。


怖くて動けない私を、


おぶってくれて。


おっきな背中に


乗せてくれて


私は


いじめられずに済んだ。







誰も居ない保健室に、私とヤンキー君は居た。


「あの・・・ありがとうございます。」


はじめて喋るヤンキー君。


キレられたらどうしようかと思い、
おそるおそる喋ってみた。


「いや、礼言われるような事はしてねぇよ。」


ヤンキー君は無表情でこっちを見た。

「でも、貴方がいなかったら私・・・・」


また涙が出てきた。


「おいおい、また泣くのかよ」

ヤンキーくんは親指で私の涙を拭った。


(なんて・・・なんて優しいんだ。)


「うっ・・・ヒック・・・とうに・・・本当に・・・・ありがとう・・・ありがとうッ」


溢れだした涙が止まらない。

止められない。


「いいんだよ・・・別に」


ヤンキーくんは照れながら言った。


「ありがとうぅぅ・・・」


私はずっと泣いていた。

初めて会ったヤンキー君の前で。

はずかしかったけど、


涙は止まってくれなかったから。


でも、



「もぅ泣くなよ」



そう言って彼は笑ってくれた。


「ッ・・・うん・・・ヒック」


「泣いてんじゃねぇか」


「泣いて・・・ないもん・・・グズ・・・」


「泣いてるって」


「泣いてない・・・ヒック」


「だぁかぁらぁ!泣いてるって」




2人の言い合いが響きわたる



静かな保健室。




初めて合ったヤンキー君に助けられて


慰められて



嬉しかった




彼はけっこう優しいんだな・・・



そう思った




高校2年の春。






18:18
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